レビュー:鳥類弁護士の事件簿
人の代わりに動物たちが生きる 19 世紀のフランスで、無実の罪に問われる被告獣を救い出す。革命の燻りを感じる中、主人公である隼のファルコン弁護士は、お茶目な助手のスパロウソンと共に歴史の濁流へと飲み込まれてゆく……
本レビューは深刻なネタバレを含まないが、気になる方は避けてほしい。
動物ギャグが満載のテキスト
随所に散りばめられた動物ギャグは身構えていても笑ってしまう。シリアスな場面もあるものの、このおかげで全体を通してハッピーな気分が維持される。

驚くべきは、これがもともと英語の作品である点だ。この作品では、キャラクターの個性から随所にちりばめられたギャグまで、翻訳チームの努力とギャグセンスがなければ到底実現しない水準の仕事がなされている。これには驚嘆を禁じえず、楽しい時間をくれたことに感謝している。
歴史上の芸術家が彩る音楽と絵
音楽はサン=サーンス、登場獣物はグランヴィルによる。いずれも歴史上の人物であり、このセンスはちょっと見かけたことがない。
BGM らしく揺れの少ない演奏が行われている点も面白かった。クラシック音楽は一般的に 1 つの曲を多くの演奏家が各々の解釈で演奏するものであり、同じ曲でも全く違う印象になったりする。気に入る曲があれば他の演奏を YouTube などで探すと面白いかもしれない。
絵についてもまことに独創的というほかない。19 世紀の風刺画がこうも魅力的に現代のゲームとして蘇るとは……大枠は原画通りだが、口が動いたり💦が飛び出す工夫によって生き生きとした印象が強まり、見慣れない画風にもかかわらず容易に可能移入できる。スパロウソン君はいいぞ。

逆転裁判を思わせるゲームプレイ
作者自身、着想の際に見た絵が逆転裁判のようだったと発言している。だが単なるまねっこではなく、このゲームにマッチするように再構成され、遊びやすくまとめられている。
テンポもよく、中だるみを感じることはない。また、全ての場所を調べれば “正解” にたどり着くわけでもない。ターン数の制限がある中で的確に証拠を集めなければ、望んだ未来がこぼれ落ちてしまうかもしれない。そんな緊張感のバランスも心地よい。
結
欲を言えばもっと遊びたかった。続編か DLC が出たら買おうと思っている。皆様もよければ是非。
2026年3月2日