MacType を使うコツ

Windows のフォントレンダリングを改善する MacType というソフトウェアがあります。これは Windows アプリケーションの描画処理を横取りし、文字を独自にレンダリングすることで美しい表示を行うものです。

例えばデスクトップに置いたファイルならば、読みづらい背景でも文字の視認性が上昇します。

また、Wikipedia においても文字の形がより正しく描画されており、やや太く見えることからも読みやすくなっています。

極めつけは MS ゴシックが指定されたサイトです。ここでは価格.comを例に出させていただきましたが、MacType を使えばサイトに高級感すら漂ってきます。読みやすいですし、あなたが知らなかった MS ゴシックの美しさを発見できます。

これらの画像を見て、読みやすいな、良いなと思ったあなたは MacType に向いています。今すぐインストールしましょう。

ところで早速余談ですが、私の作るサイトはノーマルな Windows でもなるべく綺麗に表示されるようにめちゃめちゃこだわって調整しています。本サイトも、特にダークモードでは MacType による違いを感じられないレベルで綺麗なはずです。なので各位には恐縮なのですが、この機会に初めて使う方はどうか他のサイトで試していただけると…

このように美しい文字を表示する MacType ですが、システムに深入りしているため問題が起きることがあります。このページでは、なるべく安定して MacType を使うためのコツを紹介します。

どの起動モードを選べば良いのか

MacType には「起動モード」と呼ばれる設定があり、MacType をどのように起動するかを選択することができます。設定画面を見るとレジストリモードが最も優れているように思えますが、最近の Windows 10 では不安定な傾向にあり、サービスモード、あるいはトレイモードでの起動が推奨されています。

この問題についてはこちらのスレッドで議論されています

私の経験では、互換性重視モードでの起動が最も安定しており、プログラムの起動を阻害するようなこともほぼないようです。

ところで MacType ウィザードには MacType 効かないんですよね。たまにしか見ないので別に良いんですけど。

Chrome 系のブラウザで使う

Chrome やその基礎である Chromium を使ったブラウザでは、多くのアプリケーションと異なる描画方法が採用されていることもあり、MacType による描画の置き換えが行われないことや、起動しなくなってしまうことが時々起こります。しかしこれには対処方法がありますので、適切に設定すれば Chromium ベースのブラウザでも良好な表示を期待できます。

正常に動作させるための設定

これは他のサイトでもよく言及されていますが、ブラウザの起動時に特定のオプションを付けることで、MacType が描画を正常にフックします。

--disable-features=RendererCodeIntegrity

下の図は、Chromium ベースブラウザの一つである Vivaldi の起動ショートカットにオプションを付けたものです。このショートカットから起動することで、ブラウザの文字をなめらかなものに置き換えることができます。Chrome でも同じ設定が有効です。

Chromium 90 以降が起動しなくなってしまう問題を修正する

Chromium 90 で入った変更により、MacType にフックさせるとブラウザが起動しなくなってしまうことがある問題が起きています。これは、MacType が描画処理をバイパスする際に利用している EasyHook というライブラリを更新することで修正できます。

具体的には、MacType の作者自身によって公開されている Easyhk64_CET_test2.zip に含まれる Easyhk64.dll を、MacType のインストールディレクトリにある EasyHK64.dll と置き換えることで、正常に起動するようになります。作業の際は MacType を終了することを忘れないようにして下さい。

また、この問題は Ryzen シリーズの CPU、またはそのチップセットに関連している可能性が指摘されていますが、作者の snowie2000 氏がその環境を所持していないこともあって検証が遅れているようです。現在は別の方にテストをしてもらっているようですので、それが済み次第修正版が正式にリリースされると思われます。

文字細すぎ問題への対策

ところで Windows 上での Chromium 系のブラウザって文字細くないですか? 白い背景にそりゃないだろってくらい細い文字を表示されると目がチカチカしますよね。MacType の設定で太くする事もできますが、他のアプリの文字が極太になってしまうので良い解法とは言えません。そこで、Font Rendering Enhancer という拡張を使ってブラウザの文字だけ太くします。

文字の太さは最大の100がおすすめです。これは多分厳密には文字の太さ自体を変えているわけではなく、文字の滑らかさは若干犠牲になりますが、読みやすさが全く違うので必須の設定と言えるでしょう。

MacType がフックできないアプリケーションの除外

MacType はアプリケーションの処理を横取りするため、まれにアプリケーションをクラッシュさせるなどの問題を起こすことがあります。こういうアプリを発見したら、MacType のプロセスマネージャーを使って、そのアプリケーションを除外しましょう。

まとめ

MacType は Windows での文字のレンダリングを劇的に改善することで文字の認知負荷を下げ、その美しさによって気分も良くしてくれるので、生産性やクオリティ・オブ・ライフに直結するツールです。きちんと使える状態を維持して、皆さんが快適な Windows ライフを満喫できるよう願っています。

2021年5月20日