ELF-SR1 でコンテンツを作る際に遭遇した問題と対策

本記事は [ELFちゃん(ELF-SR1) Advent Calendar 2020] 20日目の記事です。

便宜上、本機のことを ELF と呼称します。本記事では、開発中に遭遇した問題とその対処を2点メモします。

見たかったものとできたもの

ELF の中に雨を降らせたい。それが最初の欲求でした。静謐で尊い感じにすることを考えていました。

プレゼンスを重視する VR 開発者の宿命(?)か、とにかく目を奪われるような情報量と雰囲気を出したいと思うようになり、そんなところも目指しました。

結果、こんな雰囲気になりました。とにかくリアリスティックにするとどう見えるか知りたかったので、地面は反射や雨の波紋、もう1つの自然現象も再現しています。意外と重くない。

惜しい点として、ELF はバックライトを備えているので、部屋を暗くして暗い表現をするとうっすら白んで見えます。その意味では、暗い画作りにはちょっと不向きな面があるかもしれません。気にし過ぎかもしれませんが。

1. 映り込みについて

ELF の頭上に照明があると映り込むことがあります。紫色に映るため反射防止の何かは施されているように見えますが、暗めの画作りをしているとやはり気になるものです。開発中は、以下のように屋根を作って反射を防ぐと快適に見ることができました。

2. トラッキングの安定性について

ELF は内蔵したビジョンセンサーで人間の顔の動きをトラッキングすることで最適な映像を生成できるわけですが、照明環境によっては不安定になることがあります。この場合、視点がついてこなかったり、ガクガクになったりします。

今回の開発中にも不安定な状況が起きました。付属ツールの SRDisplay Settings を起動すると、トラッキングの状況を確認することができるので、これを使って確認しました。

不安定なトラッキング

上記の動画では、顔の認識を表す赤い枠が明滅しており、安定したトラッキングができていないことがわかります。見たところ、顔の右側の輝度が時間に伴って変化しているようです。これは・・・もしや・・・ディスプレイの明滅・・・! と当たりをつけ、画面をマフラーで覆ってみたところ、安定してトラッキングされるようになりました。

画面をマフラーで覆ってみた

余談:音について

単体でもそこそこの音量が出ます。うるさい環境でなければ追加のスピーカーは不要でしょう。

音質はまあまあです。悪いということはありませんが、音質をとことん追い込んでいるわけではなさそうです。

まとめ

ELF はドキュメントもシンプルかつ必要なことが網羅されていて、気軽に読み通せたり、SDK が使いやすい状態に整備されていたりと開発者に優しいデバイスでした。何より高精細なのが良いし、スピーカーが入ってるのも地味に便利ですね。初代製品なのに気配りを備えていてすごい。

おまけ

今回作ったアプリケーションを配布します。ELF ちゃんをお持ちの方はどうぞ。30秒程度の体験になっています。

ダウンロード

2020年12月20日