メイキング・オブ・学ぼう指揮法 解説動画

指揮法を学ぶ人のために、解説動画を作成しました。チャレンジは、いかに iMovie でうまく要求を満たすか、です。本稿では、作業の種類を大別し、大まかな時系列に沿って解説します。

目次

制作には、 主に次のアプリケーションを使用しました。

動画の取り込み

今回、素材となる動画ファイルは DVD とビデオカメラで提供されました。

まずビデオカメラについて。動画を編集するにあたって、ビデオカメラの中の動画ファイルはそのまま使いません。元の状態だとファイルサイズが大きすぎ、(特に安い HDD を使っていると)何か編集操作をするたびに読み込みラグでとてつもなく重くなります(たぶん)。快適に編集するために、最初に適切なフォーマット(H.264)に変換します。変換には HandBrake を使い、なるべく高画質設定でエンコードします。と言っても、最高画質設定を追求すると日が暮れても終わらないので、そこそこ丁寧に。出来上がったファイルを iMovie に入れれば、そこそこ快適に作業できます。

DVD についても HandBrake を使って変換します。これはコンテナ差し替えるだけでも別にいいですが、MPEG2 より H.264 の方が編集軽いような気がします。(未検証)

本当は ProRes がいいんだけど、再エンコードかけることになるのでやめました。1度の変換で行けるなら良いんだけど。

音声の取り込み

ビデオカメラの音声なんて(リミッター、ノイズ、周波数特性の問題で)音楽の動画で使えるはずもないので、2つの機材で別撮りしています。1つは高級なマイクと業務用レコーダーを使ったもの、もう1つは SONY のコンパクトレコーダー。

これらを確認してみると、コンパクトレコーダーの方が良い音(低ノイズ、明瞭な録音)で撮れていました。業務用機器の方はホールの後ろから高指向性マイクを使っていたようですが、結構アンビエントな感じになってしまいました。というかノイズが多い。(予定合わず同席しなかったので原因不明)

とにかくこれらの音声を Audacity を使って編集します。先ほど良いと言ったコンパクトレコーダーも、イヤホンで聞くと耐えられないレベルのノイズが乗っているため、これを削減します。(最近 Audacity のアップデートでノイズ除去のアルゴリズムが強化され、結構使えるようになりました。)とはいえやりすぎると合唱の子音がモヤついたりピロピロとノイズが乗ってしまうので、結果を聴き比べつつ程よい所で処理しました。

テロップ・エンドカードの作成

楽譜を見ながら解説をする場面があるため、動画中に掲載するためのテロップ(譜例、文字、図形)画像を作成します。
素材として書籍の全データを受け取り、Affinity Designer を使って必要な部分を抜き出し、場合によっては多少変形しつつ画像化しました。

オープニングムービーの作成

何の表示もなく唐突に動画が始まるのもアレなので、オープニング用に数秒のムービーを作成します。作成には Apple の Motion というアプリケーションを使います。

Motion は Adobe で言う所の After Effects です。モーショングラフィックス(動く絵)を作る、要は気の利いたアニメーションを作るときに使います

アイデアは簡単で、書籍の表紙っぽいものを Motion 内で作り、これを動かします。本当はゴージャス極まるアニメーションを作ってみたかったけど、本編の内容に合わなすぎるのでやめました。

ようやく動画編集

長い前座が終わり、ようやく動画編集に入ります。これはもう iMovie で並べていくだけ。。。とは言うものの、簡単にやってることを書きます。

音声の位置合わせ

タイムラインにコンパクトレコーダーの音声を乗せ、ビデオに入っている音声とタイミングを合わせていきいます。(タイムコードなんてありません。家庭用カメラだし、iMovie はそもそもry)
合わせ終わったら、ビデオ側のオーディオを iMovie の機能で切り離し、削除します。(なぜかというと、単にミュートしただけだとエンコード時にミュートが解かれてしまって音が乗っちゃうバグが時々出るから)

しゃべり部分のノイズ除去

専用レコーダーで撮っていない解説音声は、ビデオの内蔵マイクに頼ります。これが思ってたよりすごいノイズ量で、吹き荒れる嵐の中にいるかのよう。これは iMovie のノイズ除去機能で簡単に。品質はそこそこだけど、音楽でなければ問題ないだろうと判断。

ホワイトボードの修正

前の授業の黒板が消えてない、的なよくあるヤツです。このホワイトボードに書かれた図形を消します。

まず、1フレーム抜き出します。面倒なので&ディスプレイも動画もフルHDなのでスクショでOK。
Pixelmator で開きます。

これを…

…こうして…

…こうじゃ!

これを動画に乗っければ、あら不思議!

まとめ

今回 Motion を購入して、ようやく世間の人が「動画編集」だと思っているものに手をつけました。やっぱりアニメーションしてようやく動画編集者できるよ!と気兼ねなく言えるような気がする。自分のゲーム作品とか作った時にかっこいいビデオ欲しいから、引き続き機会のある時には弄っていこう。

簡単そうな動画を作るのにもいろんな作業があるんだなあ。

2016年5月31日